2025/03/26
資格取得の経緯
私は現在、さいたま市の就労支援施設でキャリアコンサルタントとして、求職者と就労者に対し、キャリア支援を行っております。支援している中で、半数近くの方が過去メンタル不調で仕事を辞めた、あるいは今でも苦しんでいるとう事実に向き合うこととなりました。また、企業の人事の方からは組織の問題解決や課題について、どう対応していったらいいのかというご相談を多くいただきました。これらの状況に対して、少しでもお役に立てるよう今回、国際EAPプロフェッショナル(CEAP)の資格を所得いたしました。
EAPはEmployee Assistance Programの略称で、従業員支援プログラムと翻訳されています。
EAPの定義として、EAPは組織と個人へサービスを提供するとされています。その範囲は幅広く、組織への戦略的問題から社員とその家族個々人への個人的な問題を扱います。職場のプログラムとしてEAPを提供するスタイルは多様であり、その組織のサイズ、事業内容、ニーズによって異なります。
一般的にEAPは国際EAPプロフェッショナルなどのような専門家によって次の2つのサービスが提供されます。
- 職場の生産性、健全な運営の維持及び向上、またその組織ニーズの提言をする
- 人間の行動とメンタル上の健康に関する専門家のノウハウを通じてサービス行う
実際、就労支援をしていく中で自分が必要としている、あるいは足りていない知識やスキルが、ここでの学びで身につくのではないかと思ったわけです。
求職者のキャリア支援は、個人の支援ですが、これらの方々が安心して就業し、よりよく働いていくためには、受け皿である組織や職場の健全な運営の維持や向上も必要不可欠です。
では、国際EAPプロフェッショナルという資格はどういった資格なのでしょうか?
国際EAPプロフェッショナルとは?
国際EAP協会認定国際EAPプロフェッショナル(Certified Employee Assistance Professional:CEAP)とは、一般社団法人国際EAP協会のEAP認定委員会(Employee Assistance Certification Commission)が交付するEAP専門家のための資格です。1987年に米国で認定開始され、EAP会社、企業、団体、第三者評価組織、健康保険会社、及びクライアントである企業や個人により広く認識されてきました。米国の大手EAP会社では、国際EAPプロフェッショナル(CEAP)資格保持を採用基準にしている団体や企業があるほどです。ですので、CEAP資格保持者はEAPを行うための必要な知識と経験を有しているということになります。資格の更新期間は3年で、その間に60時間の継続教育単位が必要となります。
では、国際EAPプロフェッショナル(CEAP)資格を取得するためにはどうしたらいいのでしょうか?
国際EAPプロフェッショナル(CEAP)を取得するには
国際EAPプロフェッショナル(CEAP)資格を取得するためには養成講座の受講と試験に通らなければなりません。養成講座と試験については2年前に変更され、養成講座と試験がオンライン提供になり、また実務経験がなくても養成講座を受講すればCEAPの受験が可能となりました。合格後の資格申請も協会が代行するため、日本語で手続きすることができます。
国際EAPプロフェッショナル資格の受験のためには、職務経験、学歴によって、4つのトラックが設定されています。
受験者の職務経験や学歴に該当するトラックで必要な事前事後学習・メンターリングを受講することとなります。オンライン学習システム(LMS)は全5章のプログラムを実施し、各章毎に確認テスト行い8割以上の正解によって、その章の合格となります。LMSは開始から3ヶ月以内にすべての章を合格し、終了しなければなりません。資格の取得費用は各トラックによって違いがありますが、十数万円から三十数万円です。
※LMS: 試験は LMS のモジュールごとに 30 問あり、合計で 150 問あります8割以上の正解で合格になります。
※メンターリング:実務経験の無い方のための代替措置です。国際EAPプロフェッショナル(CEAP)資格保有者によるメンターリング(24 時間:2 時間×12 回)を受講しなければなりません。
資格取得後のビジョン
私は、5年間キャリアコンサルタントとして、キャリアコンサルティングとセミナー講師をしていたため、実務経験としてカウントして頂いた結果、トラック2での受講となりました。CEAP専門研修では、EAPの目的や仕組み、必要な倫理や行動規範、専門的知識や技術を学びます。これにより、労働安全衛生や産業保健活動が「個人支援」に留まらず、組織全体のパフォーマンス向上に繋がる包括的な支援へとなっていきます。
働きたい、働いている方への支援をどう行っていくか、模索しながらキャリアコンサルタントとして活動している中で、個人に対しての支援だけでは解決できない難しい問題もあります。受け皿である組織も柔軟に対応し、変革していくことも必要な状況があります
EAPを学び、これらの課題に対して必要な働きやすい環境が提供できる支援を行えたなら。キャリアコンサルタントだからできること、国際EAPプロフェッショナルだからできることが何か模索しながら頑張っていきたいと思っています。
執筆者:樋山英夫