2024/06/13
「謝罪風の謝罪」とは、表面上は謝っていても、ほとんど反省や謝意が感じられない謝罪のこと、つまり「謝らない謝罪」のことです。
日本において、不祥事や差別発言を問題視された政治家や行政、企業経営層たちが、この「謝罪風の謝罪」を釈明の言として使う姿が、連日のようにメディアを通して映し出されています。
「一般的な謝罪」が「自らの行為や起きた現象」に対して「責任を負って謝罪」するのに対し、「謝罪風の謝罪」では行為そのものではなく、気分を害した可能性のある人に「すり替えて謝罪」をします。
つまり、問題は相手の気持ちの受け取り方にあるとして、「責任を転嫁」するのです。
「謝罪風の謝罪」は、主に次のように使われています。
①「誤解を招く表現がありましたこと、深くお詫び申し上げます」
②「世間の皆様(あるいは相手)にご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした」
③「もし、私の言動が誤解を招いたようでしたらお詫びいたします」
①は、「言い方はまずかったが、考え自体は間違っていない」、言い換えれば「ほかの言い方をすれば特に問題はなかった」という開き直りで、むしろ「あなたが勝手に間違った解釈をしただけ」と、暗に相手を非難すらしているといえます。
②は、あくまで「相手に不快な思いをさせたことへの謝罪」であり、「自身の言動に対する謝罪」ではありません。
むしろ、不快になった相手がナイーブすぎるとか、怒りっぽいとほのめかしていることになり、あるいは謝罪対象を「世間の皆様」と不特定多数に広げることで、問題をはぐらかしています。
③は①と似ていますが、①よりさらに「もし~」と「仮定した謝罪」になっている分、反省の意を汲み取ることは難しく、相手の感情を逆なでしてしまうともいえます。
ほかには、「紙を読みながらの謝罪」も、どんなに謝罪内容が素晴らしくても、全く謝罪の気持ちが伝わらず、むしろゴーストライターの存在を疑いますよね。
「謝罪」とは、自らの非を認め、相手に許しを請う行為をいいますので、それをしていないという意味では、そもそもこれらの言動は「謝罪風」なだけで、「謝罪」とはいえないのかもしれません。
もし、「謝罪」する相手が被害者だった場合には、この「謝罪風の謝罪」によって二次被害を生む可能性がありますし、このような大人たちの姿を見て育つ日本の子どもたちは、これからどのように成長していくのでしょうか。
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意図にかかわらず、自分がしたことをしっかり反省し、その責任を真っすぐ認めることの大切さを、伝えていきたいものですね。
[ 一般社団法人 目白心理総合研究所 ]
臨床心理士 / 公認心理師 / キャリアコンサルタント / CEAP / EAPコンサルタント / CBT Therapist®︎ / CBT Professional(EAP) / CBT Extra Professional ®︎
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